ゆきの子供達 第七十八章 狐子からの試し

もう一回の使い途中、広子と狐一が角を曲がると、床で寝ている狐が見えました。今すぐ、広子は狐のところに走りました。「可愛い!」と言って、狐の毛並みを撫で始めました。

「おい、危ない!そいつに噛まれるかもしれない!」と狐一は言うと、広子の側に駆け寄りました。すると、狐をよく見ました。「お前、なんでその姿を?いつも人間の姿でいたいのかと思っていたのに」

狐は赤毛の娘の姿に化けました。「あっ!狐子様、失礼いたしました。すみません」と広子は言って、深く会釈しました。

「気にしないで。問題はありません」と広子に一礼を返して、狐一に振り返りました。「この子は、気が変わったようなの。以前はどんな小さな獣を見ても、怖がっていたのよ。それは城の誰もが知っていたわ。でも、今日は狐だけが怖くないようなの。どうして?」と狐子は尋ねました。

「俺のせいじゃないよ。口を留まる呪文でさえをこの口うるさい女の人間につかなかった。昨夜、この子が悲鳴を上げた時、あの琵琶法師の奴が何かをしたかもしれない」

「まあ、もうすぐあの人と話すと思う。ところで、この城のみんなはあんたにとって目上の者を考えた方がいいと家老さんが言ったんじゃない?あんたが広子ちゃんに丁寧に話すことを聞くこと一度もない」

「畜生!なぜ狐のこの俺が人間めらに頭を下げなきゃ?伯父貴の命令は変だぞ」

「父の命令だけじゃないよ。伯母様の望みでもあるのよ。この城には血の関係のお方がいるし、伯母の間違いを繰り返さないよう、家族がこの国と関係をもっと強くなるように願っているとあんたにも分かるはずだよ。伯母様の話を聞かなかったのか?」

「ふむ。そういえば、伯母の間違いは何だったっけ?」

「間抜け!その話をまた聞く暇があるはずがないのよ。仕事を続けた方がいいよ」

そう叱られて、狐一は広子と一緒に用事をしに立ち去りました。狐子はしばらく二人を眺めて、呆れたように首を横に振りました。そして、狐一の部屋の方へ向かって小走りで歩き始めました。

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