ゆきの子供達 第十七章 家来の不満
一方、岩室の入り口の前で、忍者の長は家来と待っていました。
家来たちは周りを戦々恐々と見渡していました。その内の一人は「ここは嫌な場所だ。この近くに鬼がいつも攻めてくるそうだね。山に行いってその原因を調べればいいのに、どうして山に行くことを禁止してるのかな」と言いました。
その話を聞くとすぐに、家来は全員静かになっておろおろと忍者の方を伺いました。間もなく、家来の長は大きな声で「そいつはいつも冗談ばかり言っているんだよ」と言って最初の家来を脇へ引き込めて、耳打ちしました。「馬鹿者!あの忍者は大名の目と耳のような者だ。死にたいのか?」
最初の家来の顔が青くなりました。「申し訳ございません、頭。忍者のことを考えていませんでした。実は、家内の家族がこの近くに住んでいて、最近大変な生活を送っています。前の大名の時代…」
「黙れ!それは禁句だぞ」
その瞬間、大名が岩屋から出てきました。「ここでの用事は終わった。城へ戻ろう」と言いました。
馬で城へ戻る間に、忍者の長は大名の隣に座りました。「大名さま、恐れ多くも、家来と一緒にあそこに行くことは、あまり良い考えではなかったかと存じます。そんなことをしたら、家来たちは怖がって、大名様のために戦うことには度胸をなくしてしまうんじゃないでしょうか」と言いました。
「仕方ない。護衛のない旅は安全ではないからな」と大名は答えました。