ゆきの子供達 第十八章 鬼の襲撃
間もなく、若殿とゆきの結婚式の日になりました。いろいろな殿様たちが、結婚式を出席するためにその大きな町に来ました。そして狐も、人間の姿に化けた後で来ました。しかし、隣の国の大名は来ませんでした。
結婚披露宴は城の庭で行われました。綺麗な花が、あちらにも、こちらにも咲いていました。本当に素晴らしい日でした。
突然、町から叫び声が聞こえました。ただちに、家老は大きな町の殿様に近寄りました。「殿様、巨漢の鬼が町の家を壊して城の方へ来るようでございます」と知らせました。
「息子と一緒に兵を駆り集めろ。わしの甲冑と武器を整えさせろ」と殿様は家老に言いました。それから客人たちの方に向いて大きな声で言いました。「皆様、残念ですが、大変なことが起こっています。早く城の中に入ってください」
間もなく、ほとんどの客人たちが城に入った後で、若殿は兵と一緒に外曲輪の上に向かいました。そうこうしているうちに、鬼は外曲輪までやってきました。鬼が見渡したとき、一人の女性が見えました。そのきれいな女性は、恐怖で凍り付くようにして立っていました。「ほほう」と鬼は笑いました。「お前は大名が話していた娘だろう。俺様と来い」と言って手を伸ばして女性を掴み取りました。
それを見た時、若殿は「しまった、ゆきが!やめろ!ゆきを掴んだ手を放せ!」と叫びました。