ゆきの子供達 第四十八章 家老の助言
その日の評議で家老は、「あの時子供を見つけた家来を、村の長にお取立てになったのはゆき様のお考えでございますか」と尋ねました。
若殿ははっきりと答えました。「そうだ。ゆきの考えだ」
それを聞いた家老は、「しかし、その者の妻が、村には戻りたくないと申しているようでございます。ゆき様のお考えだということでしたら、一度、ゆき様がその者にお会いになってはいかがでしょうか」と、ゆきに言いました。
ゆきは、「私がですか?でも、誰も私のことをよくは思っていないようです」と、俯き加減で言いました。
家老は、「ゆき様はこの城にお越しになられて以来、城の者達とはほとんど触れ合う機会がございませんでした。ゆき様のことをあまりよく存じ上げておらぬゆえ、悪い噂を立てているのではないでしょうか。もし、その者達がゆき様のお人柄に触れさえすれば、そのような噂はたちまち消えるはずでございます」と、優しく助言しました。
ゆきはふぅっと小さく溜め息をつきました。「では、その者と話をしてみましょう。今晩、私の部屋に来るように伝えてください」