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一方、ゆきは目覚めました。「腕飾りがないから、狐は来なかったんだろう」と思いました。「腕飾りが切れた時に、狐の毛が少し着物にくっ付いたかも知れない。もし狐の毛が一本だけでも見つけられるなら、狐を呼ぶことが出来るかもしれない」
それからゆきは死に物狂いで着物で狐の毛を探しました。やっとのことで短い毛を一本見つけました。毛を両手に持ちながら「助けて助けて助けて」と言いました。
あっと言う間に一匹、二匹、ついには百匹の狐が牢に現れました。「狐さま、この牢から助け出してくださいませんか」とゆきは頼みました。
「どうしてもっと早く呼ばなかったのですか」と狐は聞きました。
「実は呼びたかったんですが、不意に襲われましたし、猿轡をかまされてしまいました。争いの最中に毛で作った腕飾りが切れて落ちてしまったんです。この短い毛一本を見つけるまで、呼べなかったんです」とゆきは答えました。
それから狐たちは壁の下に穴を掘って、忍者を追いかけ、牢の鍵を見つけました。