第十一章
忍者の襲撃
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一方、ある妬み深い老婆の茶屋が忍者らに会いました。「あのよそから来た茶道家は、お客を横取りするんです!消して欲しいんです!」と言いました。
忍者の長は「そうですか。どんな手立てがいいでしょう?」と聞きました。
茶屋は「どんな手立てでも構いません」と答えて、去りました。
長は側近に「あの茶道家について何か知っているか?」と聞きました。
側近は「数週間前、この町に来ました。温泉で働いています。そして毎晩、城に行きます。若殿は彼女について興味があるそうです。隣にあった国の前の大名の娘かも知れないそうです」と答えました。
「面白い。隣の国の大名も、彼女について興味があるかな。じゃ、娘を今からここに連れてきて、大名に使者を派遣しろ」と長は言いました。
「はっ、長、仰せの通りにいたします」と側近は言って、出かけました。
その夜、ゆきが温泉へ帰る間、忍者はゆきを素早く取り囲んで、猿轡をかませて、手足を縛りました。揉みあっている間に、毛の腕飾りは切れて、地面に落ちてしまいました。
側近はゆきを長のもとへ手足を縛ったまま連れて行きました。「この娘が茶道家です」と言いました。
長は「そうか。若すぎるな。本当に上手かな。この娘の茶の湯を見てみたい。束縛を解いて」と言いました。
猿轡が外させてから、「助けて助けて助けて」とゆきは叫びましたが、狐の毛がないので、何事も起こりませんでした。
「この付近では、いくら叫んでも、誰も助けにはこない」と長は言いました。「一服立ててくれ」
しかたなくゆきはお手前を始めました。終った後で「本当に上手だぞ。大名の興味がなければ、俺はお前を芸者にするつもりだ」と長は言いました。
「めっそうもございません」とゆきは言いました。
「この娘を牢に連れて行って、そこに閉じ込めておけ」と長は言いました。
牢に閉じ込められてから、ゆきは泣きながら眠ってしまいました。