第十四章
救出
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一方、家老は若殿を腕飾りを見つけた場所に案内しました。若殿は「犬に匂いを嗅がせなさい」と言いました。
犬は絹の布地を嗅がせられて、吠え始め、道に沿って走り始めました。
間もなく「畜生!妖怪が!」と聞こえてきました。
「早く!奴らを逃がしてはならない!」と若殿は言いました。
守衛らは若殿と共に忍者を襲いました。一方、忍者の砦の中、ゆきはどよめきの音を聞いて、窓の方に行きました。「若殿さまです!狐さま、若殿さまを助けてくださいませんか」と頼みました。
狐は「そのようなことはできません。若殿は男なので、自分の戦いは自分で戦わなければなりません」と答えました。「ここで待っていてください。戦いが終わるまで、君を守ります」
「はい。戦いが終わるまで、ここで待ちます」とゆきは答えました。
それから若殿は守衛らと共に忍者の大部分を捕らえましたが、残りの忍者は逃げました。
「ゆき殿はどこだ」と若殿は忍者に言いました。
「ここです」とゆきは入口で言いました。
「ゆき殿!大丈夫ですか」と若殿は言いました。「これを落としたでしょう?」腕飾りを見せました。
「あっ!それ、無くしてたんです。若殿さま、腕飾りを見つけて、返してくださって、さらには私をも助けてくださるなんて、本当にありがとうございます」とゆきは言いました。
「礼には及ばん」と若殿は答えました。
「狐さま、私を脱獄させて、守ってくださってどうもありがとうございます」とゆきは答えました。
狐は「どういたしまして。他にも君を守ってくれる人がいるようですね。もう一度だけ僕を呼んでも構いません。頑張ってください」と言いました。
「がんばります」とゆきは答えました。
「ゆきさんと結婚するつもりです。もし、狐どのが結婚式に参加していただけたら、大変光栄です」と若殿は言いました。
「そうですか。普段なら私は人間の営みとは関係を持たないのですが、このお嬢さんは特別です。きっと結婚式に参加できるでしょう」と狐は答えました。