第十二章
ゆきはどこだ?
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次の朝、女将が起きると、ゆきが見当たりません。「あの子は一体どこだろう?」と思いました。「まだお城にいるかな?」
それから女将は城に急いで行きました。城に着いてから「温泉の女将です。昨晩、うちの茶道家は若殿に振舞うためにこちらに参りましたけど、温泉に帰ってきませんでした。まだ城におりますか」と守衛に聞きました。
「ここで待つように」と守衛は言いました。
間もなく家老が門に来ました。「昨夜、茶道家は温泉へ帰ったはずじゃ。そちらに着いていませんか」と聞きました。
「まだ戻っておりません」と女将は答えました。
「知らせに感謝致す。調べさせて茶道家を見つけよう。心配には及ばん」と家老は言いました。
それから女将は温泉へ帰り、家老は若殿に報告しました。守衛らはゆきの捜索を始めるように命じられました。
間もなく家老は若殿にまた報告しました。「若殿さま、道の途中でこの切れた毛の腕飾りと絹の切れ端を見つけました。争った形跡がありました」
「そうか。その場所に案内しなさい。守衛と猟犬を連れていってくれ」と若殿は言いました。
そして、若殿たちは城を後にしました。